「賃貸管理委託契約」は、いわば継続的な取引です。
一般的に継続的な取引において、ユーザーがサプライヤーに対し満足度が低い場合、
「スイッチングコスト」とは、文字通り「切り替える際に必要となるコスト」です。
ケータイでいえば、「ドコモ」から「au」に乗り換える際に、ユーザーが負担しなければならないコストのことです。
コストは、金銭面だけではありません。
今まで慣れ親しんでいたモノやサービス、サプライヤーそのものから、新しいモノやサービス、サプライヤーに切り替えれば、新たに慣れるまでには、「時間」であったり、「手間」も掛かります。
そして、「切り替えた先」に慣れるかどうか不安になるなど、「心理的な負担」も多かれ少なかれあるのが一般的です。
これらもいわばコスト、つまり「スイッチングコスト」といえます。
賃貸管理会社の切り替えでは、オーナーにとっては、金銭面、物理面よりも、むしろ心理的な面の方が「スイッチングコスト」として大きいのではないでしょうか。
この心理面における「スイッチングコスト」が、阻害要因となり、
オーナーは、「やや不満」、「不満」を感じつつも、実際には管理会社の切り替えは実行しないでいる場合が多いと考えられます。
つまり「不満」と「スイッチングコスト」を天秤にかけるわけです。
しかし、逆にいえば、どういえるでしょうか。
天秤は、いつも繊細で絶妙なものです。
心理的な阻害要因が取り除かれたなら――
このことは、「他にもっと良い管理会社があれば」と同じことを意味するのです。
しかし、オーナーは「もっと良い管理会社がある」ことを知ることができません。
他にも管理会社があることを知っていても、その会社が「もっと良い」かどうかは分かりません。
なぜならば、その会社が有効なマーケティング施策に取り組んでいないからです。
オーナーは「知り得ない」のです。