賃貸管理において家主・オーナーとパートナシップの関係であり、信頼関係を構築することが、満足度を向上させることに繋がると書きました。
では、そのパートナーシップの関係は具体的にどのようにしたら築けるのでしょうか。
もちろん、これはビジネスマナーであるとか、誠実丁寧に業務に当たるなど、企業としての基本は実行されていることが大前提となります。
その上で積極的に取り組みたいことは、
です。
賃貸管理・仲介において、オーナーとのコミュニケーションの機会は様々あります。
オーナー向けニュースレター、広告宣伝、訪問しての近況伺い、各種セミナー、接待から、収支報告書に至るまで、コミュニケーションの機会といえます。
これらの機会において、コミュニケーションそのものに関し、戦略的にブラッシュアップを図ります。
ブラッシュアップの方向性についてキーワードは二つ、
です。
パートナシップの関係づくりに必要なコミュニケーションとは、オーナーと事業会社様が、同じレベルで情報、知識、知見を共有するということです。
ところでオーナーは、およそ情報の持ち方に関しては、大きく二つのタイプに分けられます。
誤解を恐れずに言えば、一方は賃貸経営に関し情報リテラシーの低いタイプ、もう一方は情報力の高いオーナーのタイプです。
前者は、情報、知識が乏しく、あるいは間違ったそれに基づいているため、例えば担当者が施策を提案したとしても、それに理解を示すことができません。
後者は、担当者と同等かそれ以上に情報、知識を持っており、ともすると担当者に「物足りなさ」を感じてしまいます。新人や若手などの場合は、見下すことさえ少なくありません。
決してどちらのオーナーが良くて、どちらが悪いということではありません。
重要なのは、どちらのタイプのオーナーであったとしても、情報、知識を共有していることです。
リテラシーの低いタイプのオーナーには、ある程度のレベルまで、情報、知識、知見を伝える、つまり「啓発」する必要があります。
情報力の高いタイプには、同じレベルかそれ以上のものを、事業者様も当然ながら保有しているという安心感を明確に伝えられるように、「見える化」する必要があります。自社のレベルの「見える化」を図ることが必要です。
情報や知識は積極的に得たい、得ようと努めているが、あまりにその量が膨大なため、本当に必要なポイントとなる情報だけを得たいと感じているオーナーは多いものです。
いずれにせよパートナーシップをより機能させるためには、同じ目線、同じ前提で話し合えることが、何よりも重要です。
話の前提が異なれば話は噛み合わず、すれ違いが起こるだけです。
話が噛み合わなければ、オーナーが管理、仲介会社の施策に協力的になるはずもありません。
非協力的であるだけならまだしも、不信感さえ抱きかねません。
例えば、昨今人気のあるある設備として「インターネット無料」や「宅配ボックス」が上位にランクインしているという情報があるとします。
この情報を前提として、担当者が空室対策として、「インターネット無料」を設備として導入することを提案、オーナーの協力を得ようとしたとします。
しかし、その情報、知識の前提がオーナーになければ、「私に負担ばかりかけようとする業者」という不信感を抱くことに繋がりかねません。
それゆえ、事業者様は、賃貸経営において前提となる情報、知識に関し、オーナーと共有しようとコミュニケーションを図る必要があるのです。
リテラシーの低いオーナーに対しては「啓発」です。
情報力の高いオーナーには「見える化」です。
それも、何か提案などする際に「啓発」や「見える化」を図ろうとしても遅いのです。
オーナーに負担を掛けようとする際の「啓発」や「見える化」は、例えオーナーを慮って行ったとしても、営業トークにしか聞こえかねません。
あるいは「説得」になってしまいます。オーナーの目には、「売らんかな」の商人の姿勢としてしか映らない恐れがあります。
「啓発」「見える化」は、逆にむしろ、オーナーに何ら負担をかけることのない平常時、何もない時に行っていること、それも絶え間なく行っていることが効果的です。
この方法論と実行こそが戦略的コミュニケーションといえます。