賃貸住宅のオーナーは、現在契約中の管理会社に対し満足度が低く、およそ7割が管理会社を切り替えることを検討しているということでした。
しかしながら、あくまで「検討」に留まっており、実際に積極的なアクションは起こしていない。
なぜならば、「心理的なスイッチングコスト」が阻害要因となっているからということでした。
これは換言すれば、
ということです。
つまり、賃貸管理を手掛ける不動産会社が、管理戸数を増やすためには、
という二点に絞られるかと思います。
一方、現在管理を受託中のオーナーに対しては、
が必要となります。
では、何をもってオーナーの「満足度」は高められるのでしょうか?
これは、オーナーが、管理会社のどのようなことに「不満」を抱いているか、あるいは、どのような「要望」を持っているかということにヒントを見い出せます。
「不満」と「要望」は、いわば表裏一体です。
賃貸住宅のオーナーが、現在契約中の管理会社のどのような点に「不満」を持っているか、どのような「要望」があるかについて、アンケート調査したデータがあります。
まずは「不満」の理由から。
また、その裏返しとしてのオーナーによる管理会社に対する「要望」
「不満」と「要望」共に、上位半分は入居付けや維持管理、対応における管理会社の「姿勢」であり「成果」に関すること、下位半分は「対価」に関することです。
つまり、この二つのデータが示唆することは、
と捉えられます。
もちろん賃貸経営におけるコストとして、管理委託費がいくらでも良いと考えている家主・オーナーはいません。
また逆に、ひたすら「安さ」を望むオーナーがいることも事実です。
昨今、管理費を賃料に対する料率ではなく、一戸あたり廉価な定額制を“ウリ”にする事業者が増えつつあります。
その好調さは、「安さ」を求めるオーナーが、まだまだ多いことを物語っているともいえます。
それゆえ、対価に関することは、「不満」「要望」どちらにしてもランクインはします。
しかしながら管理委託費は「適正」かどうかが問われているのであって、「安さ」を求められているのではないとも考えられます。
オーナーからみれば、「管理会社がやってくれていること、やってくれること」に対し、その対価が適正と感じられるかどうか、ということです。
切磋琢磨された市場において「価格」は、自ずと「相場」が形成されます。
一方で、管理の業務の中には、顧客であるオーナーの目になかなか映らないものがあります。
自社で「行っていること」と、それがオーナーにきちんと「見えている」かどうかは別問題です。
もし管理会社として相場に照らし合わせ、あるいは工数を鑑みても、適正な対価を示しているにもかかわらず、オーナーから対価が高額だと評されるような場合は、
という視点を持ってみてはどうでしょうか。
オーナーからすれば、「たいしたことをしてくれるわけではないのに、こんな対価を請求する」と
感じられているのです。
「可視化」の戦術を持てば、案外、適正な管理委託費を逸脱して「安さ」を求める家主、オーナーは比較的少数派のはずです。
もし、それでも相場から大きく逸脱した「安さ」を求めるオーナーがいるとしたら、それは「人的な理由により収益が低くなる物件」のオーナーかもしれません。黄色信号です。
さて、「不満」「要望」どちらもランキング1位なのは、入居付けに関してです。
そして2位は「対応」についてです。
つまるところ、
ということなのです。
いわば、「管理の質」という時、すべては直接的、間接的にこのことに集約されるべき、ということかもしれません。
もちろんそのようなことが、簡単にどんな物件でも出来たら苦労はありません。
管理会社として、この「そもそも論」的な答えに対し、どのように向き合ったらよいのでしょうか。
「自社のサービス(業務)の可視化」と共に、どのように取り組んで行ったら良いでしょうか。
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