賃貸住宅の家主・オーナーは、そもそも管理会社に何を求めているのか?

家主・オーナーが管理会社に求めているもの

賃貸住宅のオーナーは、現在契約中の管理会社に対し満足度が低く、およそ7割が管理会社を切り替えることを検討しているということでした。

賃貸住宅のオーナーの【7割】は、管理会社を切り替えることを検討している
成熟した市場といえる賃貸住宅管理市場。全国レベルで知名度を上げる大手から、地場エリアでシェアを誇る老舗の管理会社など、各々のエリアにおける勢力地図は、およそ塗り上がっているかのように見えます。しかし、すべては移ろい行くのがこの世の習い。

しかしながら、あくまで「検討」に留まっており、実際に積極的なアクションは起こしていない。

なぜならば、「心理的なスイッチングコスト」が阻害要因となっているからということでした。

それでも賃貸住宅の家主・オーナーは、【管理会社を切り替えない】理由とは?
一般的に継続的な取引において、ユーザーがサプライヤーに対し満足度が低い場合、「スイッチングコスト」と、取引を継続することを天秤にかけた上で、取引先の切り替えが検討されます。賃貸住宅の家主・オーナーのスイッチングコストとは?

これは換言すれば、

阻害要因さえ取り除くことが出来れば、オーナーは管理会社を切り替える

ということです。

つまり、賃貸管理を手掛ける不動産会社が、管理戸数を増やすためには、

オーナーの満足度を高める取り組みを行うこと
「心理的なスイッチングコスト」を取り除く施策に取り組むこと

という二点に絞られるかと思います。

一方、現在管理を受託中のオーナーに対しては、

「満足度」を高め、顧客ロイヤリティを高める取り組みを行うこと

が必要となります。

では、何をもってオーナーの「満足度」は高められるのでしょうか?

これは、オーナーが、管理会社のどのようなことに「不満」を抱いているか、あるいは、どのような「要望」を持っているかということにヒントを見い出せます。

「不満」と「要望」は、いわば表裏一体です。

賃貸住宅のオーナーが、現在契約中の管理会社のどのような点に「不満」を持っているか、どのような「要望」があるかについて、アンケート調査したデータがあります。

まずは「不満」の理由から。

賃貸管理会社が管理戸数と入居率を伸ばす資料

出所:㈱ウチコミ 2018年調査 管理会社に対して満足しているかどうかの質問に対し、「どちらともいえない」「やや不満」「不満」と回答した家主・オーナーに、その理由を選択肢形式で質問

また、その裏返しとしてのオーナーによる管理会社に対する「要望」

賃貸管理会社が管理戸数と入居率を伸ばす資料

出所:㈱ウチコミ 2018年調査 「管理会社に求めることがあれば教えて下さい」

「不満」と「要望」共に、上位半分は入居付けや維持管理、対応における管理会社の「姿勢」であり「成果」に関すること、下位半分は「対価」に関することです。

つまり、この二つのデータが示唆することは、

管理委託費の「安さ」よりも、管理の「質」が求めらている

と捉えられます。

もちろん賃貸経営におけるコストとして、管理委託費がいくらでも良いと考えている家主・オーナーはいません。

また逆に、ひたすら「安さ」を望むオーナーがいることも事実です。

昨今、管理費を賃料に対する料率ではなく、一戸あたり廉価な定額制を“ウリ”にする事業者が増えつつあります。

その好調さは、「安さ」を求めるオーナーが、まだまだ多いことを物語っているともいえます。

それゆえ、対価に関することは、「不満」「要望」どちらにしてもランクインはします。

しかしながら管理委託費は「適正」かどうかが問われているのであって、「安さ」を求められているのではないとも考えられます。

オーナーからみれば、「管理会社がやってくれていること、やってくれること」に対し、その対価が適正と感じられるかどうか、ということです。

切磋琢磨された市場において「価格」は、自ずと「相場」が形成されます。

一方で、管理の業務の中には、顧客であるオーナーの目になかなか映らないものがあります。

自社で「行っていること」と、それがオーナーにきちんと「見えている」かどうかは別問題です。

もし管理会社として相場に照らし合わせ、あるいは工数を鑑みても、適正な対価を示しているにもかかわらず、オーナーから対価が高額だと評されるような場合は、

自社のサービス(業務)を、オーナーに「可視化」させる戦術に欠けている

という視点を持ってみてはどうでしょうか。

オーナーからすれば、「たいしたことをしてくれるわけではないのに、こんな対価を請求する」と

感じられているのです。

「可視化」の戦術を持てば、案外、適正な管理委託費を逸脱して「安さ」を求める家主、オーナーは比較的少数派のはずです。

もし、それでも相場から大きく逸脱した「安さ」を求めるオーナーがいるとしたら、それは「人的な理由により収益が低くなる物件」のオーナーかもしれません。黄色信号です。

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さて、「不満」「要望」どちらもランキング1位なのは、入居付けに関してです。

そして2位は「対応」についてです。

つまるところ、

退去者が出たら、素早く次の入居者を決めて、何かあったら素早く対応してくれたら文句はない

ということなのです。

いわば、「管理の質」という時、すべては直接的、間接的にこのことに集約されるべき、ということかもしれません。

もちろんそのようなことが、簡単にどんな物件でも出来たら苦労はありません。

管理会社として、この「そもそも論」的な答えに対し、どのように向き合ったらよいのでしょうか。

「自社のサービス(業務)の可視化」と共に、どのように取り組んで行ったら良いでしょうか。

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