ニュースレターの作成について相談を受けたり、打ち合わせをしていると、DM(ダイレクトメール)とニュースレターを混同している方を多く見受けます。※ツイッター等SNSの『ダイレクト・メッセージ』についての話ではありません。
しかしながら、ニュースレターとDMは似て非なるものです。
決してどちらが優れていて、どちらが劣っているということではありません。
まったく役割が異なるものなのです。
DMでは商品やサービスを訴求
DMというと、自宅や会社の事務所に届く郵送物をイメージすると思いますが、
最近ではもうお馴染みの、、Eメールで送られてくるメールマガジンなどもDMの部類といえるでしょう。
DMを送付する業界は、一般消費者対象では自動車販売、保険、リフォーム、住宅販売、教育関連、百貨店など、法人対象であれば融資関連、士業、オフィス機器関連など、
枚挙に暇なく、DMを受け取ったことのない人は現代社会では非常に稀だと思われます。
それほど一般的な広告宣伝物の一つで、自社の商品やサービスに関して積極的に訴求するものです。
形態は葉書1枚から封書、メールと様々ですが、展示会への来場、アンケートへの協力、顧客としての利用、などをきっかけに住所等の個人情報を入手し、
それが自社の商品・サービスのターゲット足り得ると分かると、DMの送付対象者とするのです。
送付する頻度は様々です。
セールやキャンペーン、ターゲットの誕生日などに際して送付するものから、
購入直後に送られるもの、対象者にニーズが発生する直前、
四半期に一度~隔月、毎月1度など、定期的に送付されるDMもあります。
郵送物であれ、メールであれ、これらDMに関しては、昔から「開封率」という一つの指標があるくらい、
受け取った対象者がそのDMを実際に開いて中を見るかどうか、ということに神経をとがらせ工夫を凝らします。
そうです。
実際に多くの人は、よほど自分がタイムリーに興味ある商品やサービスでない限り、
DMを「広告宣伝物」と認識するやいなや、開封せずにゴミ箱に投げ入れてしまうからです。
ただ、対象者にとってタイムリーな場合や、本当に消費者メリットが大きい商品・サービスを訴求するDMは、依然として一定の施策効果があるのも事実です。
ですので、施策としてDMを打つ場合には、ただ単に広告宣伝物を送るという発想から離れて、
どのようなDMを、どのようなタイミングで、
どのような対象者に送るか徹底した検討が必要となります。
ニュースレターでは、サプライヤーの専門性やパーソナリティを訴求
上記のようなDMに対して、ニュースレターでは、自社の商品やサービスをあまり訴求しません。
ニュースレターでは、ターゲットすなわち既存顧客や見込み客を閲読者とし、その閲読者にとって有益な情報、顧客本位の情報を提供します。
それに集中します。
自社の商品やサービスを訴求するのは二の次、三の次です。
いや、商品やサービスをまったく訴求する必要すらないかもしれません。
もちろん業種業態によりますが、商品やサービスについて触れたとしても、せいぜい「告知」レベル。
DMは、商品やサービスをその場限り強く訴求することにより、その場での「売上げ」づくりを目論むセールスです。
それに対し、ニュースレターは、閲読者に対し顧客本位の情報を、定期的に継続的に提供することにより、
自社のサプライヤーとしての専門性やパーソナリティをジワジワと伝えます。
専門性が伝わると信頼感を与えます。
パーソナリティが伝わると信頼感はもちろんのこと、親近感を閲読者に与えます。
それが、継続的かつ強固な、顧客生涯価値の高い取引関係を築くことへと結びついて行くのです。
現代の高度化した経済社会では、「何を買うか、どんなサービスを受けるか?」よりも、
「誰から買うのか?」
これが重要視されます。
そしてこの傾向はますます強くなっています。
買い手が買いたがる「誰」になるためには、どうしたら良いのでしょうか?
ブランド戦略? 飲みニケーション? 有力人物からの紹介?
サプライヤーとしての専門性、信頼性、そして人としての親近感を持ってもらうことが一番ではないでしょうか?
それを構築しようとするのがニュースレターなのです。
DMもニュースレターも、おそらく目的は同じはずです。
新規顧客獲得。リピート客獲得。売上拡大。
しかし、その目的を全うしようとする「手段」は異なります。
繰り返しになりますが、どちらが優れていてどちらが劣っているということはありません。
たとえば、ニュースレターを定期的に送りつつ、「ここぞ」というタイミングで、DMで直接的に売り上げを狙う、
という手法で成功している事業者もたくさんあります。
常日頃のニュースレターで見込み客との信頼関係を構築しているからこそ、単発のDMの効果は抜群という流れが作られているのです。
ニュースレターとDM。これらの違いを理解し、それぞれの良さを最大化させる施策に取り組みたいものです。